この世に来た状況を思い出した時の事を記すことにします。
お伽噺と思ってください。
私は天界(異次元)に住んでおりました。あるとき、雲の上から下を覗きますと、見渡す限りの大きい湖一面に、真っ白い氷が広がっています。
よくよく見ますと、その湖の氷の上で何やら動く者がいます。その瞬間クローズアップです。天界ですから。
それは、大勢の子供たちでした。子供たちは棒を持ったり、雪を丸めて遊んだり、追いかけっこをしたりと、元気いっぱい走り回っています。
生き生きと目を輝かせ、本当に楽しそうです。子供たちは皆、それぞれ遊びに無我夢中です。
その時、視界を広げて見回しますと、その広大な湖の氷が、岸の方から、徐々に溶け始めているではありませんか。
ミリミリッ、ピシッ、ピシッと音を立て、亀裂が入り、氷が割け始めたのです。
氷の中央では、何も知らない大勢の子供たちが夢中で遊んでいます。
氷は、大きく亀裂を広げながら、今にも湖全体が溶けていきそうです。
「子供達ーっ、逃げなさい。早く、早く。氷が溶けていますよ。遊びをやめて、周りを見てごらんなさい。早く逃げなさい。」
私は声をからして叫ぶのですが、子供たちには一向に届きません。
「逃げなさい。早く、早く。子供達逃げなさいー。」
私は尚も、夢中で声を枯らして叫ぶのですが、全く届かず、子供達は目の前の事しか、分からないようです。
余りにも遊びに没頭して、遠くから迫っている危険に、全く気づけないのです。
「逃げなさい。子供達、逃げて。早く、早く-。」
どんなに、どんなに大声で叫んでも気づけない子供たち。
「逃げなさいーっ。」
私は身を乗り出し、渾身の力を振り絞って叫びました。
何が何でも助けたいと思ったその時です。なんと、私は叫びながら下(地上)へと、真っ逆さまに降りて(落ちて)行ってしまったのです。
(以上を思い出したというか、再体験したのが20代でした。)
そして、幼児の時の不思議体験を思い出し、二つが繋がったのでした。
以下幼児体験です。
はっと目覚めると、最初に天井が目に入りました。
黒く煤けた天井。慌てて周りを見渡すと、襖や壁もなんだか薄暗く、煤けたような古い部屋です。
実家を建て替える前でしたので、私は3~4才頃です。
(私は御殿にいたのに、なぜ?)
パニックになりながら、布団から飛び起きて、家の中を見回りました。黒光りのする柱や板戸、古い田舎家です。
「大変だ。本当に降りて来てしまった。」
私は必死になって、家の中を走って見回りました。
そして、降りて来てしまった現実を自覚すると、激しく後悔し絶望しました。
そうです。私の住んでいた屋敷の天井は、お城の天井のように美しく装飾されていました。何もかもが美しく輝いていました。
天界での私は、とても想像できないほど純粋で繊細、汚れなき意識の持ち主でした。愛溢れる天使の心を持っていました。
その私が、氷上の子供たちを助けようとして、渾身の力を振り絞った時、降りて(落ちて)きてしまったのです。
ところが、降りた所は、溶けかけた氷の上ではありませんでした。
どういうわけか、古い日本家屋の家に生まれていたのでした。
天上にいたことを思い出した、その時の絶望と後悔は、今でもありありと蘇ります。
柔らかく愛に溢れ、何もかもが美しい天界から、重く暗い、ぎゅっと堅く凝縮された物質界に来たのです。
後悔せずにはおれませんでした。
そういえば、下界を覗くなと言われていたような気がします。
天界人は心が純粋すぎるので、一旦見てしまうと人を救おうとして、落ちて行ってしまうのです。
というのは、夢中になると、意識がその次元に引き寄せられてしまうからでもあります。
何が、間違っていたのでしょう?
明日につづく。
ありがとうございました。